実践「ニュース小論文」第3回答案紹介
さて、それでは答案を御紹介いたしましょう。
第3回課題はこちら>>
[1]
私にとっての日本人であることのアイデンティティとは、ごはんと味噌汁である。日本人は従来健康的な食生活で、肥満になる人が他国と比べ少なかった。しかし今、油と糖分たっぷりの洋食を好む人が増え、日本の良さが失われていると感じる。そこで私は、食品の専門家になり、日本食の素晴らしさを今一度人々に広めようと思う。何年後になっても、日本人の心にごはんと味噌汁があり続けて欲しい。(183字)
講評
- 「200字以内」という設定の場合、「190字以上200字以内」で書くことが最低条件です。出来れば195~200字にして欲しいくらいです。
- なぜ「ごはんと味噌汁」なのか、そしてそれは多くの日本人に当てはまることであるのか?そこを詳しく書かないと「日本食の素晴らしさを今一度人々に広め」ることは出来ないでしょう。
- 評価は55%です。
[2]
「他民族から支配されず千年以上同一民族で自治を続けてきた~」の答案は、わずか159字でした。内容を見る前に零点にされてしまいます。
[3]
同じ日本人であっても地域によって様々な特色がある。日本人のアイデンティティとは混在の中の共存にあると思われる。日本に住んでいながら世界に目を向けることの多い私達は自国の文化や他地域について知らないことが多々ある。(以下、省略)。(189字)
講評
- 「200字以内」という設定の場合、「190字以上200字以内」で書くことが最低条件です。出来れば195~200字にして欲しいくらいです。今回はあと1字、足りません。この「あと1字」が極めて重要なのです。たとえば「日本に住んでいながら世界に目を向けることの多い私達は」の後に「、」を打てば、190字以上という条件を満たすことが出来ました。
- 「日本人のアイデンティティとは混在の中の共存にある」という視点は、教養の深さがにじみ出ている極めて素晴らしいものです。ただ、その後が好ましくないですね。まず第一に、そう考えた根拠がない。「明治維新後も第二次世界大戦後も、日本は諸外国の文化を享受しつつ時刻の文化も維持してきた。戦後の例としては、バレンタインやハロウィンの庶民への浸透から、それがわかる。」というようなことが書かれてあれば、説得力を持つでしょう。従って、「日本に住んでいながら」以降の文には、ほとんど魅力を感じません。
- さらに致命的なことは、設問に応えていないということです。設問には「また今後、それを自分自身がどのように扱うことで将来の自分の糧としていくつもりか」とありましたが、それに対する文言はどこにもありませんでした。
- 第二文のみ高く評価されますが、他はまずいです。評価は15%です。
[4]
私は日本人のアイデンティティとは勤勉さにあると考え、これを大切にしたい。社会に出ても日本のなかでは一生懸命働くとこは当然のことであるが、現在のグローバル社会では外国人に負けない日本人らしさ、つまり仕事に対する勤勉さがよりいっそう必要と感じる。また、私は患者に慕われる医者、あるいは難病の治療法を研究する医者を目指しているので医師にとって勤勉さ、自己犠牲をいとわない姿勢が重要であると考えている。(197字)
講評
-
極めてシンプルな論文ですが、主張内容がはっきりしていてわかりやすく、大変好ましいです。
- 細かな減点箇所。「~日本のなかでは一生懸命働くとこは当然の~」 ⇒ 「~日本のなかでは一生懸命働く『こと』は当然の~」
- 評価は83%です。Excellent❢❢
[5]
わたしの日本人としてのアイデンティティは日本語にある。日本語で思考することが私を日本人たらしめる。どこにいようと日本語がきちんと扱えれば、その人は日本人であると私は考える。今日、社会人として英語ができることが求められる。しかし、日本語が扱えなくなれば、それは、日本人としてのアイデンティティの消滅を意味する。故に、日本語を学び、日本語で思考し、表現していくことが私の将来の糧になると考える。(195字)
講評
- 第三文が、意味不明です。「あなたの考え」の自由はありますが「日本語が話せれば日本人」という発想には、強い違和感をおぼえます。
- そして第五文・・・・。なぜ「日本語が扱えなくなれば、それは、日本人としてのアイデンティティの消滅を意味する」のですか?理由もなく主張するのみでは、小論文ではなく、ただの日記です。
- 評価は20%です。
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以上、講評を終わります。取り上げさせて頂いた皆様、御協力ありがとうございました。
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実践「ニュース小論文」第5回課題
今回の出題は「受験指南」にしました。このページを終了して「日めくりゴロゴ」から「受験指南」をご覧ください。
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