問題演習(2)
……………………
今回は、「仮定法」を取り上げてみました。
まず初めに、「法」について確認しましょう。
「法」とは動詞の形を表し、以下の3つのパターンがあります。
@「直説法」…「事実」をありのまま表す時の動詞の形
A「命令法」… 命令文で用いる動詞の形(原形)
B「仮定法」…「事実」に反することを表す時の動詞の形
◇
一般的に「事実」というものが存在するのは、「現在」と「過去」の時だけです。
その「事実」に反することを述べる際に、「仮定法」が用いられるのです。
現在の事実に反することを述べる場合は「仮定法過去」、過去の事実に反する場合は「仮定法過去完了」を用います。
仮定法の形を一言で表すと、時制を1つ戻す、ということです。
時制を1つ戻すことで、目の前にある「事実」から、距離を置いた話をしていることになるのです。
◇
さて、仮定法の問題を解くにあたって知っておかなければならない点をまとめておきます。
if S V の節を「条件節」と呼びます。
そして、その後に続く節を「帰結節」と呼びます。
「もし〜ならば」という条件に対して、帰結の内容は「…だろうに」といった推測を表す表現になります。
そのため帰結節内には、必ず助動詞の過去形(would、might、could)が用いられます。
それぞれの助動詞は、推測する内容の「可能性の度合い」によって使い分けます。
可能性の高い順に、
would「…だろうに」> might「…かもしれない」> could「…可能性があった」
となります。
◇
条件節と帰結節の「法」の組み合わせのパターンを以下にまとめます。
[1]If 仮定法 + 仮定法
事実に反することを条件とするので、帰結節も当然事実に反することを表す仮定法になります。
[2]If 直説法 + 直説法/命令法
この組み合わせは、未来の内容に関することを表します。
[3]If S should V, + 全ての法
if 節中の should は、「万が一」という意味を表します。
「万が一」の内容は、文字通り1万分の1から2分の1まであります。
事実ありうる話として「万が一」という場合には、帰結節に直説法・命令法を用います。
事実と明らかに異なる話として「万が一」という場合であれば、帰結節も当然事実と異なる内容となるので仮定法をとります。
[4]直説法, otherwise + 仮定法
He talks too much; otherwise he would be a nice boy.
「彼はおしゃべりだ。そうでなければいい子なのにね」
この例文のように、直説法と仮定法を otherwise で結ぶこともできます。
※If 仮定法, + 直説法、If 直説法, + 仮定法といった組み合わせがないことを押さえておきましょう。
以上のことを踏まえて問題を見てみましょう。
……………………
■問1■
If she ( ) late, give her this message.
(1) were coming
(2) would come
(3) should come
(4) shall come
■解答・解説■
If she ( ) lateが「条件節」、give her this messageが「帰結節」です。
法の組み合わせから考えて、帰結節が命令法になっているので、条件節は直説法か should がある文かになります。
選択肢の(1) were coming、(2) would come は仮定法過去なので不可。
(3) should come、(4) shall come のいずれかが正解になります。
ここで shall が will と同様、未来を表す助動詞であることに気づけば、条件を表す副詞節内で用いることができないことが分かるはずです。
よって正解は(3) should come となります。
「万が一彼女が遅れてきたら、このメッセージを渡してください。」
if があるから何でもかんでも仮定法と思っていると痛い目にあうという問題です。要注意!
……………………
■問2■
He would have become a great marathon runner, if it ( ) for his knee problem.
(1) was not
(2) had not been
(3) has not been
(4) would not have been
■解答・解説■
この問題は、仮定法の中でも覚えてしまえば直接得点につながる問題です。
一瞬で解ければOK!分からなかった人はこの解答を見て今すぐ覚えましょう!
「もし膝に問題がなかったならば、彼は素晴らしいマラソン選手になっていただろうに。」
という意味で、「過去の事実に反すること」を仮定して述べています。
よって仮定法過去完了を用いて、(2) had not been が正解となります。
ここで、「もし〜がなければ」「もし〜がなかったならば」という表現をまとめておきます。
◆「もし〜がなければ」
If it were not for 〜,
= Were it not for 〜,(ifの省略による倒置)
= But for 〜,
= Without 〜,
◆「もし〜がなかったならば」
If it had not been for 〜,
= Had it not been for 〜,(ifの省略による倒置)
= But for 〜,
= Without 〜,
◆その他
It is ( high / about ) time S V過去形
「(もう/そろそろ)SはVするころだ」
仮定法の理解がまだ確実でない人は、ぜひ僕のDVD教材『徳村英樹の英文法・必修講座』で、完璧に仕上げてください!
この『英文法・必修講座』では、準動詞・関係詞・時制・仮定法といった、英文読解に欠かせない文法事項を、徹底的に解説しています。
また、入試でもよく出題される文法問題の演習もたっぷり用意しました。
そこでは、単に正解がどれなのかを解説するだけでなく、不正解の選択肢がなぜ×になるのかもしっかり解説しています。
正解・不正解の「根拠」が解るようになることで、問題に対して自信を持って正解を導き出せる力が身につきます。
DVD9枚組の大作です!この講座で仮定法は完璧です!!
□『徳村英樹の英文法・必修講座』