実践「ニュース小論文」第12回答案紹介・講評


皆様、こんにちは。
 
 
私は地方の県立高校出身です。
そして学年350人の中で340番台でした。
数学なんて、零点を何回とったかおぼえていません(少なくとも3回はありました)。

そんな私でも、いわゆる「難関大学」に合格できました。

運が良かった?

たしかにそれはあるでしょう。

ただ私は受験生のときに、最低でも1日12時間以上は勉強していました。
当時としては高価だったストップウォッチを使って。
絶対に12時間未満にならないように、毎日毎日、勉強し続けました。
お盆や正月も田舎に帰らず、ひたすら下宿で勉強し続けました。

私は今、そんな18歳の私に、御礼を言いに会いに行きたい。
もしもドラえもんがいたら、タイムマシーンがあったら・・・。
絶対に、大学受験勉強中の自分に、会いに行って頭を下げたい。

「よくがんがってくれたね」
「キミのお陰で、今の僕があるんだよ」
「本当にありがとう」

努力とは、他の誰でもない、自分のために行うものです。
それも、未来の自分のために。
40歳~50歳になった大人の自分が、今の自分に御礼を言ってくれますか?
そこまで皆さんは、努力を継続していますか?


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前々回の答案御紹介と講評です。

ニュースを再掲します。
 
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以下のニュースを読み、190字以上200字以内で問題点を指摘し、解決策を述べよ。

一橋大学(東京都国立市)で2017年6月10日に予定されていた作家の百田尚樹氏(61)の講演会が、中止になった。大学祭の企画の一つだったが、百田氏のこれまでの発言が「差別的だ」などとして学生らから抗議の声が上がり、実行委員会が開催を断念した。
演題は「現代社会におけるマスコミのあり方」。学生でつくる実行委が昨年から企画し、副学長をトップとする学内組織が許可した。実行委の学生は取材に対し、米大統領選などで注目された報道のありように触れ、「舌鋒鋭い百田氏を呼べば盛り上がると考えた」とメールで回答した。
これに対し、人種差別根絶をめざす一橋大生らでつくる「反レイシズム情報センター」(ARIC)が2017年4月、抗議を表明。大学祭での差別を禁止するガイドラインづくりや講演の中止を実行委に求めた。
ARICが問題視するのは、百田氏のこれまでの言動だ。2014年2月にあった東京都知事選の応援演説では、他の候補を「人間のくず」と中傷。2015年6月には自民党議員らの勉強会で、基地問題で政権に批判的な地元紙について、「沖縄の二つの新聞社は絶対つぶさなあかん」と発言した。2016年11月には、千葉大生の集団強姦事件の犯人像をめぐって「在日外国人たちではないかという気がする」とツイートし、「人種差別」と批判を浴びた。
ARICの梁英聖(リャンヨンソン)代表(34)は「百田氏は差別を扇動してきた。講演会を開けば、大学が差別を容認することになる」と主張。別のグループも同調し、ネットでARICに賛同する1万人以上の署名が集まったという。
実行委は「発言の場を奪うことは表現の自由という民主主義の根幹を揺るがす」として開催の意向だったが、その後も教員の有志約60人が「適切な処置」を求める要望書を大学側に提出。実行委は2017年6月2日に中止を発表した。実行委は「当日の警備態勢があまりに大きくなりすぎ、大学祭の根幹が揺らいだ」と説明している。

《 朝日新聞 2017年6月9日(金) 15時16分 配信 》

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皆さんの関心も大きかったようで、多くの方の答案が集まりました。
皆様、ありがとうございました。

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[1] Kさん
大学などの講演に差別的発言が問題視されている人を招待するのは抵抗を感じる。確かに最近の情勢に鋭く切り込む人に講演してもらうのは良いだろう。しかし、差別的発言が度々問題になるような人は呼ぶべきではない。そのような人が講演すれば、差別発言を認める形になってしまう。講演を頼むなら事前に講演者の今までの発言をしっかり調べるべきだ。その中で何か問題になるような発言、行動があるのなら講演に呼ぶべきでない。(198字)

講評
・第一文ですが、あなたが「抵抗を感じ」てもそれは問題点にはなり得ません。小論文における問題点とは「公の利益を損なうこと」だからです。あなたが抵抗を感じた内容が、公の利益を損ねていることを示す必要があります。
・「そのような人が講演すれば、差別発言を認める形になってしまう」とありますが、講演会で演者が話すことは、主催者が認めたことになるのでしょうか?あくまでも主催者は単なる主催者でしかないと思います。
・かなり主観的かつ直情的な文章であり、未来に向けての解決策が「講演に呼ぶべきではない」では、とても後ろ向きなものであると思います。
・むしろそのような人に講演会で語らせ、その場で多くの方々が論破してしまえば、逆に百田氏は二度と差別的発言をしなくなるのではないでしょうか?従って解決策としては「差別的発言をする人を公の場で論破する機会をもっと増やすべきだ」とした方が、前向きかつ効果的なのでしょう。仮に百田氏が偏狭な意識の持ち主で、彼自身を論破できなかったとしても、その講演会に参加した多くの人々に、百田氏がいかなる人物か、ということを知らしめることは出来るでしょう。

◎ 評価は50%です。




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[2] Tさん
私は、発言の場が奪われてしまうことが問題点であると考える。確かに過去の発言は過激だと評価する人は多いだろう。しかし必ずしも講義の内容が過激になるとは限らず、百田氏の演説によって新しい視点を獲得できた人がいたかもしれない。このように機会を失うことは大きな問題である。機会の損失を防ぐためには、自分とは異なる考え方であったとしても否定的に考えるのではなく、自分の考えのアンチテーゼとして受け入れるべきだ。(200字)

講評
・とても落ち着いた内容で説得力のある文章ではありますが、「ではどうすべきか?」という視点が欠けているので、とても残念です。
・例えば、小中学校から「ディベート」の授業を実施するようにする、あるいは大人も参加できる「ディベート」の大会を開催する、等々によって、議論というものを日本になじませるという考え方もできるかと思います。

◎ 評価は60%です。




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[3] I さん
世上で生じる問題に対し、若者は声を上げることが少ないと揶揄される中、学生によって人種差別に値するのではないのかと抗議をしたことは評価される様な行動であるが、その一方で百田の発言の自由が侵されると批判されうることも否めない。 過激な発言をしない者しか受け入れることができない所では過激な発言をしない者を呼び、過激な発言を受け入れる場では過激な発言をする者を呼ぶことが双方に利害関係が生まれることなく最善の策ではないだろうか。(210字)

講評
・とても意欲的な論文ですが、残念ながら10字オーバーです。

◎ 評価は0%です(字数オーバーのため)。




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[4] Rさん
百田氏を差別的な発言者として学祭に呼ばないことこそ差別であり、表現の自由に反する。確かに差別的な発言はあるが大ヒット作品の作家だ。大衆に受け入れられているということだ。多くある発言の中から一部のみ取り上げられているのも事実だろう。百田氏は差別的意見を述べる集会の開催などはしていない。今回の件のように差別とあおる風潮が日本にあることも問題だ。全国民が流れに流されることなく、情報と意志を持つべきだ。(199字)

講評
・非常に明快な論理構成であり、内容も具体的でわかりやすいです。
・ただ、「ではどうするか?」が「情報と意志を持つべき」とあるのですが、そのためにはどうするか、という具体的視点が欲しかったです。
・例えば、小中学校から「ディベート」の授業を実施するようにする、あるいは大人も参加できる「ディベート」の大会を開催する、等々によって、議論というものを日本になじませるという考え方もできるかと思います。

◎ 評価は75%です。




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[5] Tさん
ヘイトスピーチなど、昨今「人種差別」を支持する動きを認めてしまう世論に問題があろう。しかし、こういった動きに対する政府の対応が不十分であると考える。世論に被差別者の声を聞かせる場を設けたり、ARICの様な団体と協力し、街頭での差別の非情さを訴えるべきであり、現在最も影響力のあるマスコミを用いて社会全体が改めて「人種差別」について考えるような機会を増やすといった積極的な対応が求められるだろう。(194字)

講評
・第一文、第二文は非常にわかりやすく、説得力があります。
・しかし第三文が120字もあり、長すぎて分かりづらいです。
・ただ、人種差別について積極的に話し合う場を設けるべきだ、という主張は、かなりはっきりしており、わかりやすくて説得力があります。

◎ 評価は80%です。




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[6] Gさん
一橋の実行委員会は、「表現の自由を奪う」と言っているが、行き過ぎた表現の自由を肯定してしまうのは避けるべきことである。上記の表現を百田氏が発言したのであれば、予定していた講演でもこうした露骨な言葉が出てくることも否めない。大人として少し婉曲的表現を学ぶべきだ。ただ、ARIC側がネットで公開している差別発言と認定する百田氏の発言の基準が不明だ。ARIC側もこの人物のどこが悪因なのか表明を逐一表明すべきだ。(197字)

講評
・とてもわかりやすく、説得力があります。おっしゃるとおりだと思います。
・ただ、解決策が対症療法的であって、狭隘だと思います。百田氏と一橋大学とARICの問題に限定した解決策だからです。
・「人種差別について積極的に話し合う場を設けるべきだ」「ディベートの機会を設けるべきだ」等の、積極的かつ広汎な解決策が望ましいでしょう。

◎ 評価は60%です。




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[7] Nさん
一橋大学の百田尚樹氏による講演会が、差別的であると非難され中止となった。このような、大勢の人々の前で講演する人が、差別的発言をすることは非常に好ましくない。なぜならば、この発言がメディアなどによって拡散され、海外からの印象を下げる可能性があるからである。これは公益を損なう。このことを解決するためには、差別的発言を罰する法律を作成すべきである。この法律でメディアによる情報拡散を抑制する。(194字)

講評
・第一文は不要です。第二文と第三文は、よくできています。
・解決策が法による処罰、となると、その基準の制定と運用方法が問題になります。むしろその方が対外イメージを悪くしそうです。
・むしろそのような人に講演会で語らせ、その場で多くの方々が論破してしまえば、逆に百田氏は二度と差別的発言をしなくなるのではないでしょうか?従って解決策としては「差別的発言をする人を公の場で論破する機会をもっと増やすべきだ」とした方が、前向きかつ効果的なのでしょう。仮に百田氏が偏狭な意識の持ち主で、彼自身を論破できなかったとしても、その講演会に参加した多くの人々に、百田氏がいかなる人物か、ということを知らしめることは出来るでしょう。

◎ 評価は50%です。




以上、講評を終わります。取り上げさせて頂いた皆様、御協力ありがとうございました。

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