実践「ニュース小論文」第7回答案紹介

前々回の答案御紹介と講評です。

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今回の内容は「いったいどこに『問題点』があるのだろうか?」と思われた方が多かったようですね。
送られてきた答案の中で「問題点」を、あぶり出していた答案は、ごくわずかでした。
しかし、設問に「問題点を指摘し、解決策を述べよ」とある以上、それに沿ったものを描かねばならないことは当然のことなのです。
そこのところを軽視している方々が非常に多いことに慄然といたしました。

例えば昨年、ノーベル賞を受賞した大隅教授は「日本で基礎研究を続けることは非常に難しい」と、おっしゃられました。
数年前のノーベル物理学賞を受賞された南部陽一郎氏は、米国で研究に従事し、米国籍になられていました。
1987年にノーベル医学・生理学賞を受賞された利根川進氏も、米国マサチューセッツ工科大学の教授であり、2014年にノーベル物理学賞を受賞された中村修二氏は米国カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授です。
古くは、千円札の野口英世です。彼は米国ロックフェラー研究所で人生の大半を過ごしました。

ことほどさように日本という国は科学技術の「研究」という分野において、未だに極めて遅れていると言わざるを得ず、米国との意識の差は明らかでしょう。
こうした背景知識をもって今回の問題に接すれば、日本での科学研究施設や意識を充実して高めることの重要性、という切り口で、答案を書けるのではないでしょうか。


[1]
我々はいったい何を求めているのか。テレビや新聞記事でなんとか遺跡で○○がみつかっただの、ミイラの呪いがどーたらだのという報道はよく見かけるが、我々には何の関係もないことである。寧ろ大地の奥深くに眠っているご先祖様たちは、安らかな眠りを妨げられて怒り狂っているに違いない。もしあなたが墓地で骨を掘り返している人を見たら間違いなく変質者だと思うだろう。そしてお墓のご家族は怒り狂うに違いない。考古学者たちはそれと同じ事をしてしまっているのである。(221字)

講評


[2]
沖縄県石垣島の洞穴遺跡から日本最古の旧石器人骨が見つかり、頭骨の復元さらには全身骨格の復元が期待されている。このように完全な形で見つかったのは未発見の洞穴の中から発見されたためであり、ほとんどの土地が開発や開拓をされている日本では希有なケースである。今後の研究は、日本へ渡ってくる前の中国大陸や東南アジアの島国での調査を押し進め、日本人のルーツとホモ・サピエンスの歴史を探る方向が良いと考える。(197字)

講評


[3] りか さん
2万7千年前の遺体とはいえ、DNA鑑定などをしたらその遺体のたくさんの子孫に影響する結果などが出るかもしれない。そのようなDNA鑑定など科学技術の進歩によって引き起こされるプライバシーの侵害こそが問題だ。DNAなどの情報は使い方によれば悪用の可能性が高い。近年、科学技術は著しい進歩をとげてきたが、得られたデータを安全に保存することは必要不可欠でもっと安全に保存する場所を確保するべきである。(193字)

講評


[4]
港川人に続いて日本最古の人骨がまた沖縄県で見つかったというのは、日本のルーツがやはり沖縄からだと裏付けるのに重要である。この発見により、沖縄に関心が集まれば、観光産業への歴史的な面での貢献が期待される。沖縄県では、この発見をPRに使って、どんどん推し進めていくべきだ。きれいな海、首里城、食べ物、そして新たに注目の的となるにちがいない。だが、沖縄が抱えた負の歴史に、焦点を当てるのも促すだろう。(196字)

講評