実践「ニュース小論文」第6回答案紹介
前々回の答案御紹介と講評です。
第6回課題はこちら>>
[1]
エボラ出血熱のような海外で起こる疫病などを日本にもたらさないためには、海外渡航者自身が行き先の状況や近隣の国の状況も十分調べて、安全に配慮して判断することが必要だ。こうしたことを促すには、政府機関がより渡航者への注意を呼びかけ、また航空機関もそれに協力した方がいいだろう。一方で海外から日本に戻ってきた人に対しても、病気などの症状が出ていないかを十分検査してから日本入国を許可すべきだ。(193字)
講評
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・エボラ出血熱を日本にもたらさない、という点を焦点としています。その点はOKなのですが、「海外渡航者自身が行き先の状況や近隣の国の状況も十分調べて、安全に配慮して判断する」「政府機関がより渡航者への注意を呼びかけ」「航空機関もそれに協力」「病気などの症状が出ていないかを十分検査してから日本入国を許可すべき」等々、全て既に実行されていることで、なんら新しい視点が見いだせません。解決策は新しい視点でなければ面白くありませんので、この答案ですと「うん、そうだよね。で?」で終わってしまいます。
- ・評価は50%です。新しい視点が欲しかったですね。
[2]
エボラ出血熱が再燃し、問題となっている。日本でも、疫病においては感染した人々が不当に差別されてしまう問題がある。被害の拡大を防ぐためにマスメディアが報道したり隔離する必要があるとは言えど、人々の恐怖心を煽りすぎたり、患者が特定できないよう配慮すべきである。また、そもそも日本に疫病が上陸するのを防ぐために普段から空港での検疫を徹底し、万一感染しても、患者と家族がいつでも連絡できるような仕組みにするべきだと考える。(207字)
講評
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字数オーバーで零点です。せっかく答案を送って下さるのですから、もっと慎重に字数を確認しましょう。読点(、)を多く打ちすぎていることが原因の一つでしょう。非常にもったいないことです。
- 問題点が「エボラの日本上陸」なのか「差別」なのかハッキリしません。どちらかに絞りましょう。そうすれば字数オーバーも防げたことでしょう。
- 評価は零点です。(字数オーバーが原因です。この内容で字数以内であれば30%です。)
[3] ベリベリグッドボーイ さん
感染症は日本に重大な被害を及ぼすものであり、早急に対処しなければならない。日本の医療技術は世界トップクラスだ。それを駆使し世界の感染症を未然に防ぎ、減らすことは可能だと考える。日本の自衛隊や、NPO法人の力を借りれば、アフリカやコンゴ民主共和国が救われるだけでなく、世界における日本の立場の評価も必然的に上がるはずだ。まずは、日本が世界に協力するための予算をしっかり組むことが大切だと考える。(194字)
講評
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日本が世界に向けて行動する内容であり、視点は非常に面白いですね。
- しかしながら、単に「日本の医療技術は世界トップクラス」とだけ述べており、具体性に欠けている点が惜しいですね。知識の問題になりますが、富士フィルムがエボラ出血熱の特効薬を開発した、という話があります。この点を指摘することで、説得力が増します。
- NPO法人はともかく「自衛隊」は、あまり関係ないような気がします。
- 評価は60%です。まずまずですね。
[4]
原因物質の拡散を防ぐ事で集団感染を防ぐことができるが、それが難しい。感染は日本と関係ないものだと思っている日本人が多いことが問題である。温暖化などでの気候変動の影響で今まで日本にはなかった感染症が日本で集団感染する可能性が高まっているからだ。エボラ出血熱が流行したとき、日本に患者が入国することを想定して訓練を行ったりしたがもう今の対応力は低いだろう。今一度見直してら危機感を持ち続けることが重要だ。(200字)
講評
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第一文前半「~拡散を防ぐ事~」とありますが「事」は「こと」にして下さい。
- 第一文と第二文とのつながりが不明。「感染防止が難しい」と「日本人が無関心であることが問題」とが、どこでどうつながるのでしょうか?第三文を読めば第二文の存在意義は理解できますが、それでは第一文との関係は?となります。この内容だと、第一文は完全に浮いていますね。不要です。
- 第四文の根拠はどこにあるの?なぜ「もう今の対応力は低い」と言えるのでしょうか?富士フィルムの例にあるように、日本の対応は世界でも抜きん出ていますよ。現状を把握せずに憶測で書いていませんか?
- 第五文の「~今一度見直してら危~」の「ら」はミスタッチですね。
- 「危機感を持ち続けること」は、具体性を欠くため、全く何の解決策にもなりません。
- とにかく第一文の存在が極めて大きなマイナス。それを外して考えても、現状認識の不足および解決策の具体性欠如等々が大きいですね。
- 主張はわかりますが、説得力に欠けます。
- 評価は30%です。
[5] まろん。さん
エボラ出血熱が西アフリカを中心に流行りだしてから3年以上経っているにも関わらず、現在に至ってもなお効果的なワクチンが1つも確立していないことは大きな問題であると考える。日本はこの問題の解決に向けてアドバンテージである高い技術を駆使し、一刻も早くワクチンを開発して世界に貢献するべきだ。これは大変難しいことであり、莫大な費用も必要なため研究が進められるよう投資を促すことが解決に繋がる第一歩になる。(198字)
講評
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- 第一文前半「~流行り~」を「~はやり~」と読ませることは出来ません。俗語をそのまま使用することは控えましょう。ここは「~流行しだして~」とすべきところです。
- 第一文後半「ワクチン」は「確立し」ませんよ。ワクチンは確立されるものです。受動態と能動態の区別を、きちんと考えましょう。それから「1つも」という表現も不適切です。ワクチンは1つ、2つと数えられるものではありません。ここでは「未だに」とした方が良いでしょう。
- 第二文において、日本にアドバンテージがあることを知っている点は評価できます。しかし富士フィルムによる特効薬の開発等、具体的事例を挙げた方が説得力が増します。
- 第三文で、投資を促すために具体的に何をすべきでしょうか?「ジャーナリストが積極的に報道し、多くの国民の理解を得るようにする」等の記述があった方が良いでしょう。
- 第三文後半の「繋がる」は「つながる」にしなさい。
- 評価は70%です。かなり良い出来です。
[6]
死にいたるウィルス感染症は撲滅できていない。エイズは文明国を含めて世界中に大きく広がったため徹底的に研究が行われ、感染しても死にいたらない対策治療がほぼ実現された。一方エボラ出血熱は感染経路の遮断に今のところ成功してはいるが、万が一広がってしまうと大量の死者を生む可能性がある。日本脳炎は日本の研究者が根絶を果たした。その実績を再度人口知能を用いて再検証しエボラ出血熱に適応し根絶を目指すべきである。(200字)
講評
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第一文と第二文とが矛盾しています。第一文で「~撲滅できていない」と言っておきながら、第二文で「エイズは~死にいたらない対策治療がほぼ実現された」とあります。これはおかしくないですか?
- 第三文で「~万が一広がってしまうと~」とありますが、どの程度の拡散を前提に話していますか?エボラは2014年に世界中で大流行(欧州や米国にも上陸)しましたし、世界的な流行に、既になっているのです。知識不足ですね。
- 第四文でいきなり日本脳炎が出てきていますが・・・これはエボラ出血熱とどうつながるのでしょうか?あまりにも唐突です。日本の医学が最先端だからエボラ出血熱に関しても有効な手立てが出来る、と言いたいのでしょうけれども、ちょっと無理があります。実際、富士フィルムが特効薬を出していますし、間違いないことなのですが、それならば日本脳炎の話などではなく、富士フィルムの話を出せば良いのです。
- 第五文で、なぜいきなり「人工知能」なの?これもまた唐突で、ついていけません。
- おそらく「一般化して巨視的に捉えねばならない」と思ったのでしょけれども、あまりにも大きく捉えすぎることは御法度です。唐突感が半端なく、極めて分かりづらい答案になってしまっています。ここはエボラ出血熱に絞って、その中で日本がどうすべきかを考えましょう。バランス感覚が重要です。
- 評価は40%です。
[7]
今回のエボラ出血熱の集団感染は今までのように封じ込めが行われるだろう。しかし、感染リスクを楽観視していることは問題である。感染する人間がいる以上、日本にエボラウイルスが持ち込まれる可能性はある。そのため、感染者が発生している国へ行く人には、エボラ出血熱に感染する可能性があることを空港のポスターや放送で強く喚起し、日本への入国者には、検査を徹底し、国内で発症しないよう努めるべきだと私は考える。(197字)
講評
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第一文の「~集団感染は~」は「~集団感染も~」とすべきですね。しかしなぜ「今までのように封じ込めが行われるだろう」と思うのですか?根拠なき判断には全く説得力がありませんよ。
- しかも第二文で「~楽観視している~」とありますよね?この主体はなんですか?つまり「誰(どの国)が」楽観視しているのでしょうか?そしてその根拠は、どこにあるのでしょうか?単なる憶測ではないのでしょうか。
- 第三文~最後まで、極めてごく普通の内容です。これは「あなたの」意見ではなく「世間でよく言われている、ごく当たり前の」意見ですね。小論文答案としての評価は、ほとんど無に等しくなっていまいます。なぜならば求められている答案は「あなたの」意見なのですから。
- 評価は40%です。
以上、講評を終わります。取り上げさせて頂いた皆様、御協力ありがとうございました。
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