実践「ニュース小論文」第5回答案紹介
前々回の答案御紹介と講評です。
第5回課題はこちら>>
[1]
大統領などの社会への影響力が高い人たちがツイッターなどのSNSツールを使い自らの意見を発信していることが問題である。SNSであっても大統領の意見などは尊重され、正式な意思として受け取るべきか判断しかねる場合があるからだ。また正式なものとしたとき、日本語は英語話者には伝わらず、日本が世界で弱くなってしまうだろう。SNSで発信した意見についての線引きのルール決めをするべきだと考える。(188字)
講評
- ・設問文に「190字以上200字以内」とありますので、この答案は添削対象外で零点です。
[2]
現在、EUではユーロ通貨が問題となっている。例えば日本のように共通通貨で経済が繋がりかつ財政も繋がっていたらバランスを調整し再分配することができるが、共通通貨だけでは裕福な国々はより裕福になり貧しい国々はより貧しくなるため経済格差が生まれる。日本にとってEUは重要な貿易相手国であるためEU崩壊を起こさせないためにも我々日本は貧しい国々を金銭面など色々な面でサポートしていく必要がある。(190字)
講評
-
通貨に着目するという視点は、本当に素晴らしいものです。しかしながら、マクロン大統領がどこにも出てこない。あくまでも素材を踏まえた上での論文であるということを、決して忘れないで欲しいです。今回のこの答案は、その点が非常に残念です。
- 第二文がわかりづらい。「文化・経済の水準と通貨が揃っていれば富の再配分が可能だが、異なる文化・経済の水準での共通通貨だと、そのバランス調整が難しく、富を再配分しづらい」等々の書き方が好ましいでしょう。
- ちなみに「分配」と「配分」の違いは御存知でしょうか?そのあたりもきちんと使い分けた方が良いでしょう。
- 「繋がる」は、ひらがなで「つながる」と書くべきです。このような煩雑な漢字は、手書きの場合、事故が起きやすいのです。実際、普段からいつも正しく「繋がる」と書いていた人が、ある日突然「繁がる」と書くこともあったのです。
- 第三文は2つに分かるべきです。「~~な貿易相手国である。そのため、EU崩壊を~~」という形にしましょう。
- 第二文と第三文とのつながりが、ややおかしいです。第二文では共通通貨のもたらす弊害を述べているのですから、第三文ではそれを踏まえて、「たとえ共通通貨でも文化・経済の水準に合わせた変動相場を適用すべきだ」というような意見を述べた方が説得力がありますし、分かりやすいです。
- 「我々」は好ましくありません。「私達」とすべきです。
- 評価は45%です。
[3]
日本には資源がないため、加工貿易国である。故に自由貿易を推進しなければならない。しかし近年、英米で保護貿易化が進んでいる。これは貧富の差が広がったことで起こった。これに伴い、経済のブロック化が進み、第二次世界大戦のように戦争が起こる可能性がある。これを避ける為、日本はフランスが自由貿易を推進することを評価し、近隣のアジア諸国が自由貿易を続けていくよう推進していくべきだと考える。(190字)
講評
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この答案も「マクロン大統領」という文言がありません。あくまでも素材を踏まえた上での論文であるということを、決して忘れないで欲しいです。今回のこの答案は、その点が非常に残念です。
- 第一文は、日本語としておかしいですね。「日本は加工貿易国である。それは資源がないためだ。」とすべきでしょう。
- 「故に」は「ゆえに」とすべきです。漢字の濫用は好ましくありません。
- 貧富の差が広がると保護貿易化が進むのですか?そういう側面は無いわけではありませんが、保護貿易化の主要な要因は貧富の差ではありません。
- 経済のブロック化を戦争に結びつける考えは、好ましくありません。
- 日本がやるべきことは、単に「評価」することですか?一体それが解決策になり得るのでしょうか?
- 「自由貿易を続けていくよう推進」するために、何を新たにやるべきか、それが解決策です。
- 第五文・第六文は、第四文で提案した「検査」「規則」を実現するための方法を書くべきであって、話を急に「会社通勤」に絞ると面白くない。やはり「老害」そのものとしての、マクロな視点を持つべき。
- 評価は25%
[4]
今回イギリスにつづきフランスまで脱退してしまうとEUの力が弱まり、東西のパワーバランスが崩れ領土拡大を目指す中国、ロシアのさらなる台頭を許してしまう。つまり中国の隣に位置する日本の平和が脅かされる危機であったのだ。不況が続く日本も内政に偏った政策を取りがちだが、世界がグローバル化している現在、国政が世界平和と直結している現実を直視し、世界のバランスを積極的に意識して政治・経済活動を行う必要がある。(199字)
講評
-
鋭い視点ではありますし、それなりの評価は得られます。しかし、第一文と第二文に、もう少し工夫が欲しかった。例えば「今回のフランス大統領選挙は、EUにとって大きな意味を持った。新しい指導者がEUに非協力的だと、その存在価値が低下し、東西の台頭バランスが崩れる。その点、マクロン氏が大統領になったことは、中国の隣に位置する日本にとって好ましい変化と言えよう。」(106字 ⇒ 118字)
- 第三文は、単に正論を呼びかけているだけで、具体的な解決策からはほど遠いですね。世界のバランスを意識した政治経済活動とは、具体的にどのようなものであって、日本は今、そのためになにをなすべきか、それを書くべきでしょう。たとえば、「フランスとの関係性をより強固にしてEUにおける日本の発言力を高めるべきだ。そのため、フランス在籍の大手日本企業はこの機会に、◯◯◯◯なイベントを企画して◯◯◯◯◯すべきだろう。」等です。
- 評価は50%
以上、講評を終わります。取り上げさせて頂いた皆様、御協力ありがとうございました。
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